一杯のお茶を飲むよろこび、一杯のお茶を淹れるたのしみ、
そのかけがえの無い一杯のために今年も遥か中国大陸、台湾、各地から
厳選した茶葉をお届けします。
碧螺春とは?
茶類:緑茶(炒青緑茶)
数多ある中国緑茶のなかで、その類稀な外観と風味で知名度が高い碧螺春。年に一度だけ春に摘まれる茶葉は、清明節前の‘明前茶’が最も良いとされています。
白い産毛を全身に纏い、くるりとした華奢な外形が特徴で、この白毫がたっぷりな程、品質が良いことの証し。
上質なものは100gの茶葉に約1万5000もの芽が含まれています。
産地の江蘇省太湖洞庭東山は、温暖多湿で霧が発生しやすく、茶葉が育つのにとても適した環境で、唐の時代に陸羽が記した「茶経」にも、この辺りで作られたお茶についての記述があるほど、古くからお茶が栽培されていた場所でもあります。
柑橘系のフルーティーな香りと独特なコクを有する毫味は、飲んだ人に忘れ難い味として記憶されるでしょう。
300年以上前に清の康熙帝もお気に入りだったと伝えられる“名茶”で、現在でも国内外で多くの人に愛されています。
【産地】産地:江蘇省蘇州市 洞庭山
Buyer's Memo
【東山碧螺春】
龍井茶と並んで中国緑茶の代表とも言える碧螺春ですが、限られた生産量と人気に伴い、現地でも年々価格が上昇して、なかなかに手が届かなくなってしまった銘柄です。
遊茶に入荷した碧螺春は、このお茶が育った東山こそ、碧螺春の原産地、という由緒正しい場所のものです。茶園では茶樹と果樹が混在する‘茶果間栽培’が行われていて、
果樹の作る日陰に茶樹が守られ、上質な茶葉が育つのに適した環境です。
今年は3月の気温が低かった影響で、例年に比べて茶摘みの時期が少し遅くなりました。
今回入荷したのは3/29に手摘みした茶葉を、丁寧に製茶した明前茶です
口の中に含むと繊細でフルーティーな香りが広がります。あとからじんわり出てくるコクが少しずつ身体に馴染んでいく感じ。
かつて飲んだ懐かしさに浸りながら飲むもよし、初めて飲んで、このお茶に驚くもよし、
柔らかな小さな茶葉を眺めながら、かけがえの無い一杯を味わってください
。
おすすめの淹れ方
【碧螺春】緑茶(炒青緑茶)
たくさんの産毛を纏い、小さく比較的質量のある碧螺春は、
上投法(★)で淹れてみてください。
お茶水が濁るのは‘うぶげ’です。この白毫のおかげでこっくりした深みのある味わいに。爽やかでフルーティーな香りとともに、浮いていた茶葉がゆっくり沈むのを見ながら、飲むタイミングによって香味が変化していくのを楽しめるお茶です
お湯を注ぎ足しながらじっくり飲むのがおすすめです。
★上投法 先にお湯を入れから、あとで茶葉を投入して淹れる方法。
白毫の多い、緑茶に向いています
手順とポイント
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茶器を温める
-
お湯を注ぐ
-
茶葉を入れる
先にお湯を入れたところに、あとから茶葉を投入!
-
茶葉が開いてきたら飲み頃です
淹れ方の目安(300ccポット)
- 温度
- 85 - 95℃
- 約3g
- 約1分
- 抽出回数
- 2 - 3回
龍井茶とは?
茶類:緑茶(炒青緑茶)
‘緑茶の王様’とも称される龍井茶。数千年の歴史がありその銘柄は何千、何万あるとも言われる中国茶の中で最も名が知れ渡っているのがこの龍井茶です。
形は美しく、色は翡翠のよう、味は甘く芳醇で、香りは馥郁として全てが整っていることから龍井茶の風味は「四絶」と讃えられるほど。
清明節(4月5日頃)の前に摘みとった茶葉で作った龍井は「明前茶」として高級品として扱われます。
摘採した茶葉は、数時間冷暗な室内に置いて香り成分の生成を促したあと、熱した鍋の中で手のひらを巧みに押し当てながら、龍井茶特有の形である扁平に仕上げていきます。
清々しい清香とともに立ち上る、ほのかに香ばしく甘い香りは「板栗香」と称されて、乾隆帝の時代から今日に至るまで、広く長く愛されてる名茶です。
その昔、西湖の西にある龍井村で作られはじめた龍井茶の生産茶区は広く、現在では西湖周辺だけではなく浙江省域内の広い範囲で、各エリアの産地の名を冠する龍井茶が作られています。なかでも西湖周辺に位置する「獅峰」「龍井」「梅家塢」「雲栖」「虎跑」が産地のお茶はその品質の良さと限られた産量であることから龍井茶の高級品として名を馳せています。
【産地】浙江省(全域)
Buyer's Memo
【梅家塢龍井】
‘梅家塢龍井’この五文字を見て先ず思う事、「わ、凄いお茶だ。飲んでみたい!」、なぜそう思うのでしょうか。
龍井茶と言えば、何千、何万銘柄あると言われる中国茶のなかで最も名の知れたお茶。いわば龍井は‘中国茶の頂点’ “王道中の王道”と呼べる銘柄です。そして、その広く知れ渡っている龍井茶の中で、獅峰、龍井、梅家塢、雲栖、虎跑が産地の龍井茶は、それ以外の地域で作られた龍井茶と一線を画し、特別で高級なお茶として珍重されています。
有名で人気者である龍井茶の産地は広く、ゆえに品質や価格に於いては一定の範囲内においてバリエーションがあります。ただ残念ながら中には“西湖龍井”と謳って、実は産地を偽ったり、その品質に遠く及ばないものが存在しているというのも事実。そのような状況の中、遊茶が確かなルートで仕入れたこの梅家塢龍井は、龍井が龍井たるゆえんの“四絶(味、香、色、形が全て整っている)”と称される品質を持ち合わせた、買い付けルートがはっきりしているものです。
2024年、遊茶がお届けする梅家塢龍井は3/29摘みの明前茶。品種は「龍井43」で、半手工(半分手作り、半分が機械作り)で製茶した特級クラスのお茶です。
今年は摘み取り前の3月のお天気が低温だったために茶葉の成長が遅れて、摘み取り時期は例年に比べて遅くなったとのことでした。
さて、話はこれくらいにして、お茶を淹れましょう。
整った茶葉にお湯を注ぐと、清々しい香りのあとから、甘さが追いかけてきます。透き通った黄緑色のお茶水を一口飲むと、心地よい香りと滑らかなお茶水が喉を通過し、このお茶が持つ強い力が、私の身体に沁み込んでいきます。なるほど!このお茶を飲むと龍井茶が“四絶、色・形・香・味のすべてが完璧!”と謳われることに納得するばかり。
もう何も考えず、唯々、グラスの中を舞う美しい茶葉を眺めながら飲めば、まるで四絶の龍井のように自分自身が整っていくようです。
至福の一杯をどうぞ!
おすすめの淹れ方
【龍井茶】炒青緑茶
茶葉の形が美しいので、その姿を眺めるのも中国緑茶の楽しみの一つ。お湯を注ぐと茶葉がゆっくり開いていきます。
蓋碗はもちろん、透明な耐熱グラスや Chattle@淹れも向いています。
手順とポイント
-
茶器を温める
-
茶葉を入れて、湯を注ぐ
このとき茶葉にお湯を直接当てないでね!
-
茶葉が開いてきたら飲み頃です
淹れ方の目安(300ccポット)
- 温度
- 85 - 95℃
- 2-3g
- 約1分
- 抽出回数
- 3 - 4回
滇紅とは?
茶類:紅茶
滇紅(てんこう)の「滇」は中国雲南省を表す言葉で、滇紅とは“雲南省で作られた紅茶”のこと。雲南紅茶の別称、主に鳳慶大葉種など“雲南原産の大葉種”から作られます。1939年に工夫紅茶の製茶方法が確立され、生産が始まったお茶です。
作り方は大きく二種類で、茶葉をカットしないで作る“滇紅工夫茶(てんこうくふうちゃ)”とカットする“滇紅碎茶(てんこうさいちゃ)”があります。
滇紅工夫茶の茶葉の外形は艶のある深い褐色で、産毛のある淡いオレンジ色のゴールデンチップが混じっています。最近では、芽の部分をより多く使い“高級滇紅”として売り出すものも登場しています。
オレンジがかった赤色のお茶水に、厚みのある滋味、柑橘系の香りや花香を併せ持ち、まったりとした甘いあと味が特徴です。
【主な産地】雲南省鳳慶県
Buyer's Memo
【滇 紅】
滇紅(てんこう)の産地は雲南省、そう、あの有名なプーアール茶と同じで、原料となる主な茶葉も、どちらも“雲南の大葉種”です。
プーアール茶が一口に「プーアール茶」といっても、味や品質、価格にとても大きな違いがあるように、「滇紅」もその見た目、味、香りに、かなりの幅があるお茶です。
なので、滇紅の話になると「以前飲んだ滇紅は、すごく甘かった」「いや、私がもらった滇紅はキレがあって花香がした」「茶葉はオレンジ色の芽がたくさんあった」などなど、人によって“わたしの知っている滇紅”がそれぞれにあったりします。これは決して誰かの言っていることが間違っているわけではなく、おそらくどれも正解で、滇紅は滇紅だったと思います。
実際、中国で「滇紅」を扱っているお店にいくと、黒く細長い茶葉にゴールデンチップの混じったものから、産毛たっぷり巨大なオレンジ色の芽の部分だけで作られたものがあるかと思えば、くるっと丸まった形状のもの、細長い条形のものなど、見た目だけでも色々あることに、びっくりするものです。
その一方、飲んでみると“滇紅だ!雲南の紅茶だね”と感じる共通点があります。
例えば、少しもったりとした厚みのあるボディと、サツマイモやカカオを思わせるまったりとした甘みとコク。渋味は少なくて、時より花っぽい香りがしたりとか。そして意外に何でも合う“懐の深さ”。
ポリフェノールやカテキンの含有量が高い大葉種ならではの持ち味を充分に生かして作られた滇紅は、厚みのある滋味が特徴で、煎もちがいい。上手に作られた茶葉は、渋みが少なくあとに甘い香りが残ります。
また、玫瑰や龍眼、棗、ミルクなど、他のものと合わせても、味がぶつかることなく、お互いの風味を損なわない大らかな一面を持つ不思議なお茶。
個性的でありながら懐の深い「滇紅」は、毎回、驚きと安心感をくれる楽しい友人のようです。
そんな数多ある滇紅のなかで、出会ったひとつが「雲南紅茶・中国紅」。中国で初めて飲んだ時には、こんなに華やかな香りのする滇紅があるのだ!と、驚いて、思わず茶商さんを質問攻め。聞けば、原料となる茶葉の品種と作り方に従来の滇紅とは異なった特徴がありました。品種は鳳慶大葉種のほかに、主に烏龍茶を作る茶樹である梅占、黄旦、金萱を雲南省鳳慶で育て、それらの茶葉を摘んだあと、生葉の段階でブレンドしたものを、紅茶に製茶したとの事。品種毎に製茶して、仕上げたお茶をブレンドするのではなく、シングルオリジンが基本の中国茶の世界だからこその製法に、新鮮な驚きと共に、なるほど香りが自慢の“烏龍茶品種”が隠れていたのか、と妙に納得したりして。
悠久の歴史の上に留まることなく進化し続ける新しいお茶、これも滇紅のひとつです。
おすすめの淹れ方
【滇 紅】
紅茶なので「磁器のポット」や「蓋碗」を使って淹れるのはもちろんOK、香りが引き立ちます。
一方、「茶壷」で淹れると、コクのある丸みある味が引き立ちます。
出したい香味によって、茶器を使い分けると面白いです。
手順とポイント
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茶器を温める
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茶葉を入れる
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お湯を注ぐ
熱々のお湯を使ってね
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茶葉が開いてきたら抽出してください
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煎を重ねて、じっくり味わいます
淹れ方の目安(300mlポット)
- 温度
- 95 - 100℃
- 約3g
- 約1分
- 抽出回数
- 4 - 5回
雲南紅茶 中国紅(うんなんこうちゃ ちゅうごくこう)
20g 2,376円
透明感あるチャイナ・レッドの美しい茶水、華やかな花香と深い滋味
その秘密は、鳳慶大葉種と“烏龍茶の茶樹”異色の組み合わせにあり