This Tea
その昔、本来、害虫である“チャノミドリヒメヨコバイ”、通称"ウンカ"に吸汁された茶葉を製茶し、それを市場で売りさばいた人の、思い切りと勇気がなければ、このお茶はこの世に存在しませんでした。現在、質の高い「東方美人」になる為には、虫害を受けた茶葉を使いさえすれば良いというはずもなく、製茶工程の随所にこのお茶ならではの技法があります。「東方美人」を名乗るのに原料茶葉の品種特定はないことからも、製法がこのお茶になるための重要なポイントであることが分かります。分類的には烏龍茶類に属してはいるものの、このお茶のための分類を作ってもいいくらいの特有の個性を持った特別な存在です。茶名にある「白鷺」とは、「台茶17号」という台湾独自品種の通称で、このお茶の原料茶葉になっています。
Buyer's Memo
2020年の「白鷺東方美人」の外観は、「白毫」と呼ばれる産毛が顕著でありながら、フンワリというよりカッチリした仕上がり。その姿から、今年のこのお茶の堅実な雰囲気が見て取れます。実際淹れてみると、何かが突進してくるというのではなく、青い果実を想起させるフレッシュでいて穏やかな香りが優しく立ち上がり、スッキリと爽やかな滋味がゆっくりと口中を満たしてくれます。興味深いのは、抽出時間を長めに取りながら煎を重ねていくと、1煎ごとに香り滋味共に広がりと深まりを見せ、なんと5煎目くらいになって、これに出会いたかった!という、透明感あふれる香味が、可憐な花のごとくボッと花開きます。3か月後、半年後、そして1年後が楽しみな予感のするお茶でもあります。
Data
6大茶類 烏龍茶(青茶)
産地 (台湾)桃園市
茶樹 台茶17号
製茶時期 2020年5月11日
内容量 25g